2020年12月15日(火)
第356回高知県議会 令和2年12月定例会一般質問

県議会のホームページで、議会の録画がご覧になれます(別窓で開きます)


 

■大野たつや

県民の会の大野たつやです、議長にお許しをいただきましたので、県民の会、会派を代表しまして質問をさせていただきたいと思います。知事はじめ執行部の皆様どうかよろしくお願いいたします。

早いもので12月も中旬となり、今年も残すところあとわずかとなりました。本来ならオリンピックイヤーで賑わっていたはずの2020年は、新型コロナウイルスによって世界中の人々の命や健康が脅かされる、未曾有の1年となってしまいました。
あらためまして、お亡くなりになられた皆様方のご冥福と、患者様の一日も早いご回復、お見舞いを申しあげるとともに、今この時にも、新型コロナウイルスに対して、それぞれの現場で戦われている医療従事者をはじめ関係各位の皆様に敬意と感謝を申し上げるものでございます。

新型コロナウイルスは、私たちの暮らしや仕事、学校、経済など、様々な場面で影響を及ぼし、日常生活や社会機能を混乱させただけでなく、人々の行動や考え方、社会の在り方、さらにはその国の行政や政治の姿までも浮き彫りにすることとなりました。

私達の国日本では、手洗いやうがい、マスクの励行、行動自粛など、真面目で勤勉な国民性や衛生意識などによって感染拡大が抑えられてきた一方で、本来国民を守る役割の政府や政治が、国民への説明責任を果たさず、迷走を繰り返し、国民の不安や混乱、分断を生じさせることもありました。

クルーズ船など水際対策に始まり、子ども達や教育関係者を混乱させた突然の全国一斉休校、進まない検査や検査体制、国が都道府県に責任を転嫁したかのような非常事態宣言、政治家の手柄の奪い合いになどによって支給が大幅に遅れた全国民への10万円の給付金、さらに国難とも言える中で組まれた補正予算では、医療や検査体制、感染防止対策より、通称アベノマスクやゴーツーキャンペーンなどが優先され、多額の税金が一部の企業や団体に流される実態が国民の前に明らかとなるなど、世界の中でも先進国だと信じてきた、この国の政治や行政が決して1流でなかったことが新型コロナウイルスによってメッキがはがされたような気がしています。

そうした、コロナ禍においても政治の世界は大きく激変をしています。今年9月には歴代最長の7年8カ月にも及ぶ第2次安倍政権が、総理の病気辞任で突然の終わりをつげ、安倍政権の継承と新型コロナウイルス対策を最重点に菅新政権が誕生、菅新総理は、たたき上げの庶民派として、温室効果ガス排出ゼロの表明をはじめ、デジタル化の推進や不妊治療への健康保険の適用、携帯電話料金の値下げに取り組むなど、国民の期待を背負う中、政権運営をスタートさせています。



1.知事の政治姿勢

(1)知事就任1年で見えてきた課題と理想の県政

そうした激動する社会や政治情勢の中、本県においては昨年12月、3期12年にわたって本県のかじ取りをされてこられた尾﨑前知事からバトンを受け、浜田新知事が誕生されました。

思えば昨年のこの12月議会において浜田新知事への質問の機会をいただき、知事からは、県民の皆様の共感を得ながら県政運営を行っていく「共感と前進」という姿勢や、若者が夢と希望を持って暮らし続けられる高知県にしたいという思いなど、本県のニューリーダーの熱い決意を聞かせていただきました。

あれから早いものでもう1年となる訳ですが、先ほど申し上げましたとおり、この1年は新型コロナウイルスの出現によって社会が大きく混乱し変貌をすることとなり、本県においても、県民の命や健康、暮らし、経済などあらゆる面において、新型コロナウイルスへの対策が求められるなど、就任後いきなりの荒波の中で、浜田県政のかじ取りが始まることとなりました。

そうした新型コロナウイルス対策に多くをさかれる中においても、知事は県職員の皆様とともに関西圏の経済活力を呼び込む仕掛けをはじめ、南海トラフ地震や豪雨などの災害対策、新たな産業廃棄物最終処分場の整備、不登校対策や引きこもり支援など幅広く様々な課題に対して着実、堅実に施策を進めてこられました。

また、県民座談会、濱田が参りましたの開催などをとおして、地域課題の把握や市町村との連携強化にも努めてもこられました。

そうした中で、あらためて気づかれたことや感じられたことも少なからずあったのではないかと思います。

そこで、
就任1年で見えてきた課題と理想の県政について知事にお伺いしたいと思います。



(2)新型コロナウイルス感染症への対応

新型コロナウイルス感染症対策については、県内で初の感染者が確認され、経済的な影響も出始めていた今年2月の県議会において、県民生活を守り抜くという知事の力強い決意をお聞かせいただき、これまでに、感染予防や感染拡大防止対策、経済影響対策など様々な対策が講じられてまいりました。

感染拡大防止対策においては、濃厚接触者などへの積極的なPCR検査を実施し、感染者を限定的に捉えることによって感染の拡大防止を図り、経済影響対策では、国や全国の自治体に先がけて資金繰りが厳しい、中小事業者への制度融資を行うなど、その迅速な対応に事業者からは感謝の声も聞かれました。

また、休業要請に応じていただいた飲食店への協力金、ホテルやバス会社など観光関連事業者への支援、高知型福祉あったかふれあいセンター職員への慰労金など、これまで実施されてきた本県の新型コロナウイルス対策は、県民からも評価を得ているのではないかと思います。

そうした実績の一方で、政府や政治に対するコロナ対策への不信感が全国で高まる中、本県経済の回復や県産食材の地産地消推進などを目的に開催された、新しい生活様式に対応した100人規模の宴会は、全国のテレビニュースなどでも放映されたことから、コロナ禍での政治家らの高額飲食にも賛否が巻き起こり、県内外から厳しい声やご批判を受けることとなりました。

一方、県内からは、よくやってくれた、高知らしいとの暖かな声もあったとのことですが、日々の生活に困窮されている方や基礎疾患があられたり、医療や介護など職場の環境から自粛生活を送らざるを得ない方なども多くいらっしゃり、そうした厳しい立場にある方々への配慮もあれば、なお良かったのではないかと思います。

特に新型コロナウイルスへの対策については、国のゴーツーキャンペーンなどにもみられますように、経済と人命、感染拡大防止のバランスをとることは大変困難で、経済活動のオンオフなど、難しいかじ取りを迫られることも多くあると思いますが、新型コロナウイルス対策こそ共感と前進の県政運営そのものだと思います。

知事にはこれからも様々な意見に惑わされることなく、厳しい状況の中でも頑張られている、県民の皆様に寄り添った支援策に期待をしたいと思います。

そこで、先月末からの急速な感染の拡大により、対応の目安のステージを上から2番目の特別警戒とするなど厳しい状況の中、
新型コロナウイルス感染症から県民生活を守り抜く決意と感染拡大防止に関する具体的な対策について知事にお伺いしたいと思います。



(3)令和3年度予算編成の概要について

次に、令和3年度県予算についてお伺いしたいと思います。

本県の財政状況は、中期的な財政運営に一定の目途がたっているものの、財政調整的基金の残高は減少し、臨時財政対策債を除く県債残高も増加しており、さらに新型コロナウイルスの影響により大幅な税収の減少が避けれられない状況ともなっています。

そうした中で、令和3年度当初予算案の編成作業が進められているところでありますが、来年度は、感染拡大防止と社会経済活動の回復という難しいかじ取りを迫られる新型コロナウイルス感染症対策をはじめ、人口減少が大きな課題となる中で、都市から人の流れを呼び込む取り組みや、産業振興計画、日本一の健康長寿県構想のさらなる推進、南海トラフ地震対策をはじめとする防災・減災対策や社会基盤の整備強化、さらには、デジタル化や地方財政対策、新たな過疎対策法、国土強靭化3か年緊急対策後の対応など、国の流動的な動向も見極めながら、様々な諸課題に対して適切で柔軟な予算対応が求められる状況となっていると思います。

また、行政事務の効率化や費用対効果、優先順位の検証などによって、県財政を安定的に維持、継続していくための取り組みも求められており、積極的かつ効果的な予算措置と財政運営など、知事の行財政手腕に期待がされるところでもあります。

そこで、来年度
令和3年度の本県予算編成の基本的な考え方について、知事にお伺いしたいと思います。



(4)関西圏との経済連携について

次に関西圏との経済連携についてお伺いしたいと思います。

知事が政策の目玉に掲げられている関西圏との経済連携に向けた取り組みについては、これまで観光振興、外商拡大、そして万博・IRとの連携を戦略の柱に、大阪観光局との連携協定の締結や「関西・高知経済連携強化アドバイザー会議」の立ち上げなどにより、プロジェクトの推進が積極的に進められてきているところであります。

その戦略の柱の一つとなっている、カジノを含む統合型リゾート、いわゆるIRのうち、特にカジノについては、外国人観光客の増加や雇用の創出などによって、地域の活性化や経済波及効果が期待される反面、治安の悪化やマネーロンダリングなど犯罪の温床となることや、一瞬で何百万、何千万円という多額の賭けもできることから、海外のカジノ業者は日本人のタンス貯金を狙っているという声も聞かれるなど、カジノの解禁によって日本人の生活破壊を心配する声もあります。

また、国会議員が逮捕されるなど、日本の政治家と世界のカジノ業者との癒着や汚職など、カジノ利権が不正の温床となっている実態も明らかとなるなど、カジノを含むIRのイメージは、国民の間でも微妙なものとなっていると言わざるを得ません。

大阪はこれまでにIRの誘致活動を積極的に進めてこられ、現時点において最も誘致の可能性の高い自治体の一つとなってはいますが、現時点ではまだ正式決定とはなっておらず、そうした不確定要素やカジノに対する国民の不信感や不安要素が大きい中で、本県と関西圏との経済連携戦略の柱の一つにカジノを含むIRが入っていることに若干の違和感を感じております。

そこで、現時点で関西圏と本県との経済連携の柱の一つにカジノを含む統合型リゾート、いわゆるIRを含めることの必要性とその意義について知事にご所見をお伺いしたいと思います。

その、関西圏と本県との経済連携における戦略の最も重要なパートナーとなるのが、知事が以前副知事を務めておられた大阪府であることは言うまでもありません。

そのリーダーでもある大阪府知事は、大阪市を廃止して特別区に再編し、府との2重行政を解消する、いわゆる「大阪都構想」の提唱者の一人で、先月行われた住民投票において、僅差ながらも反対が上回り、都構想が二度目の否決となったことを受けても、選挙後に約半数の賛成派の声も尊重することも大事だとして、条例を用いて財源や権限などを府に一元化する考えを示すなど、大阪改革へ諦めない姿勢を貫いています。

また、新型コロナウイルスへの対応においては、政府への積極的な提言や大阪の象徴、通天閣をライトアップして府民に新型コロナウイルスへの対応指針を示す斬新なアイデアなどが注目され、その発信力や人気は全国の知事の中でもトップクラスともなっています。

一方で、テレビやSNSなどのメディアでの露出が多いがゆえに誤解や不信感を持たれる場面が少なくない印象もあります。

うそのようなホントの話として、コロナウイルスにうがい薬が効くとテレビの生中継に出演された時には、イソジンなどの商品が全国で品薄となり、関連会社の株価も大きく変動するなど、嘘か誠かは別として国民生活や市場への影響力の大きさを証明することとなりました。

また、大阪のライブハウスでクラスターが発生した時には、本県の方が大阪にウイルスを持ち込んだかのような発言が報道もされ、そこには感染し苦しんでいる本県の患者さんらに対する配慮は感じられず、そうした言動に対して本県の関係者からは不快感を示す方もおられたとのことであります。

本県と大阪府政との連携において、大阪府知事と元大阪府副知事であられた浜田知事とのホットラインは欠かせないと思いますが、そうした大阪府知事の言動なども踏まえた、
関西圏との経済連携における大阪府政に対する知事のご所見をお伺いしたいと思います。

先般、本県出身の阪神タイガース藤川球児投手の引退試合が阪神甲子園球場で開催されました。

引退試合には浜田知事も駆けつけ、新たに創設された「高知黒潮感動大賞」を贈るとともに、県民を代表して藤川投手に感謝の意を伝えあわして、全国に本県をPRされてきたところであります。
私自身も藤川投手の大ファンであり、この場をお借りしまして、これまでの沢山の感動と凄すぎる剛速球を見せていただいたことに心から感謝を申し上げるものでございます。

その藤川投手が現役生活のほとんどを在籍された、兵庫県の阪神甲子園球場を本拠地とする阪神タイガース球団は、本県安芸市をタイガースタウンとして毎年のようにキャンプで来高され、

これまでに藤川球児投手をはじめ江本孟紀投手や弘田澄夫外野手、中西清起投手など、本県出身の選手も多く在籍され活躍、さらに今年のドラフト会議においては、高知高校出身の「さかえだゆうき」捕手を4位、おらんく球団高知ファイティングドッグスの「石井だいち」投手を8位で指名されるなど、本県にとって阪神タイガースは古くから縁深い球団ともなっております。

そうしたことからも今後、例えば甲子園球場に高知県民席やブースの設置、子供達の見学機会の創出など、阪神球団との連携によって県民の皆様に関西圏を身近に感じていただき、夢を見させてもらえるような、楽しめるような仕掛けや取り組みも検討してみてはと考えます。

そこで、
本県と関西圏との経済連携におけるプロ野球球団阪神タイガースとの連携について知事にお伺いしたいと思います。



(5)牧野富太郎博士の顕彰活動への支援

その阪神タイガースの本拠地「甲子園球場」のある、兵庫県の県花「野路菊」は、その可憐な姿から兵庫県民からこよなく愛される花となっていますが、その野路菊を発見、命名されたのは、本県佐川町出身の植物学者牧野富太郎博士であります。

牧野博士は独学で植物を研究され、約40万点もの標本を収集、1500種類以上の植物に名前をつけるなど、日本の植物分類学の礎を築かれた郷土の偉人の一人であり、再来年の2022年には生誕160年を迎えることから、地元の高吾北地域を中心に、功績を顕彰した記念事業の開催や県内外への功績の発信の他、NHKでのドラマ化を目指した署名活動も行われ、署名には海外も含む県内外から約3万2千人もの署名が集まり、その全国区の人気が改めて注目をされています。

今後そうした取り組みによって、自然の宝庫でもある本県に全国の牧野ファンが来ていただくようになれば、地域の活性化にも繋がると、地元住民も大きな期待を寄せています。
そこで、NHKのドラマ化や記念事業、県内外への発信など、本県出身の植物学者
牧野富太郎博士の顕彰活動に対する県の支援について、知事のご所見をお伺いしたいと思います。



(6)中山間・奥山間対策について

次に中山間対策についてお伺いしたいと思います。

私は、これまでの人生を中山間、奥山間地域で暮らし、時代とともに変化する、変わっていく地域の姿を目の当たりにしてまいりました。

この間、町村合併や学校、国、県など出先機関の統廃合、郵政や国鉄、電電公社の民営化などによって、地域からユニバーサルサービスはほとんど無くなってしまい、都市部とのインフラや情報の格差だけが大きくなってまいりました。

そうしたことに併せて、人口の減少は加速し過疎高齢化は進み、行政や自治機能も低下を余儀なくされ、地域の住民生活では、高齢者の生活物資の調達、ゴミ出し、移動手段の確保、飲水や道路の管理、鳥獣害対策、空き家対策などなど、日々様々な課題が生まれ山積し続けています。

本県では、これまでそうした地域での課題解決策として、各種の生活支援事業や集落活動センター事業など、中山間地域への様々な対策を行ってきておりますが、効果があがった施策や地域がある一方で、課題や必要な施策が地域地域によってそれぞれ違い、異なることから、その地域のニーズにマッチした施策の必要性を感じる事例も見受けられるなど、中山間対策の難しさを日々感じているところであります。

事業や取り組みが地域やその現場の実態に合っていなければ、その施策は絵に書いた餅となってしまうだけでなく、地域住民の間で、あらぬ争いや意見の相違、分断を生じさせる原因を作ってしまうことさえもあります。

事業や取り組みなどの実施にあたっては、その地域地域の現場において、的確なニーズ把握を行ったうえで、その地域に寄り添った本当に必要な施策を有効的なタイミングで行い、さらに実施後もしっかりと検証を行うことによって、次の世代に繋いでいくことも大切なことではないかと考えます。

知事は、若者が住み続けられる中山間地域の実現なくして本県の発展はないと、中山間地域の振興に並々ならぬ決意を持たれ、住民に最も身近な市町村との緊密な連携や協働などによって、地域の課題を真摯に受け止め、共有し、慎重に判断されたうえで、必要な施策を行なっていくという姿勢を私は感じています。

新型コロナウイルス対策に多くの時間がさかれた中ではありましたが、この1年「浜田が参りました」や各自治体の首長らとの協議などをとおして見えてきた課題などもあるのではないかと思います。

そこで、
中山間地域・奥山間地域への思いとその振興のための市町村政との連携について知事にお伺いしたいと思います。



(7)ふるさと納税について

次にふるさと納税についてお伺いしたいと思います。

安芸郡奈半利町で、ふるさと納税を担当していた地方創生課の元課長補佐など、町職員2人が納税者への返礼品を取り扱う業者から賄賂を受けとっていたとして逮捕起訴されました。

私自身、奈半利町と同じような自主財源の乏しい自治体で税務やまちづくりを担当していた経験からも事件には大変なショックを受けると同時に、事件にまで発展してしまった制度そのものへの不信感を強くしています。

ふるさと納税制度は、名前からすれば、地方の自治体は歓迎するのが当然と思われるかも知れませんが、ふるさと納税によって他の自治体に寄附されたお金は、もともとその寄付した方が住んでいる自治体に入る予定だった税金であり、制度はその税金、寄付金を自治体同士で奪いあう不毛な競争をもたらすことにもなり、さらには税金が控除されたうえに返礼品もいただけることから高所得者ほど恩恵が得られ、今や年間5000億円もの税金が本来の納税自治体からインターネット上の通販ビジネスに放たれているとも言われるなど、国民の納税、税制度の基本をゆがめ、不公平を広げてしまう欠陥制度と言わざるをえず、私自身は、制度の廃止または抜本的な見直しを行うことが必要ではないかと思っています。

そこで、
ふるさと納税制度に対する知事のご所見をお伺いしたいと思います。

総務省は、ふるさと納税による返礼品の調達費用の割合を寄付額の30%以下の地場産品とするよう基準を定めておりますが、奈半利町では、返礼品の割合を低く偽装して申告していた基準違反も発覚し、全国で初めてとなる、ふるさと納税制度からの除外処分を受けることとなりました。

裏を返せば事件とならなければ、基準違反の実態は発覚されなかった可能性が高く、自治体の性善説によるところが大きい制度の矛盾の現れでもあるとも思います。
奈半利町の事件をその担当者や自治体だけの責任や問題とするのではなく、その背景や原因についても、県や国においてもしっかりと分析、検証をしていただいて、今後の再発防止にも繋げていただきたいと切に願うものですが、

そこで
ふるさと納税制度における市町村の基準違反に関する県や国のチェック体制はどのようになっているのか総務部長にお伺いしたいと思います。





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2.新型コロナウイルスの影響による雇用対策

(1)非正規労働者など厳しい雇用環境にある方々への支援について

次に、新型コロナウイルスの影響によって厳しい環境にある方々への支援についてお伺いしたいと思います。
今のコロナ禍は第3波とも言われていますが、これまでギリギリ頑張って来られた方々が踏ん張りきれなくなっています。

厚生労働省による全国集計で、新型コロナウイルスの影響で解雇された人数が多い業種は、製造業、飲食業、小売業と続き、その半数近くが、近年、労働法制の規制緩和によって急増してきた非正規労働者であることが判明しています。

特に全国一斉休校などにより、それまでも不安定な雇用形態や低賃金で働いてこられた女性の非正規労働者が仕事を続けられなくなったり、仕事を休まざるをえなくなるなど、全国でそうした方々へのしわ寄せが深刻な状況が浮き彫りともなっています。

そこで、本県における新型コロナウイルスに関連する解雇や雇い止めの人数と非正規労働者など厳しい雇用環境にある方々への支援について商工労働部長にお伺いしたいと思います。



(2)零細小規模規事業者への支援

また、9月県議会においては、新型コロナウイルスの影響による本県企業の倒産件数はないとのことでしたが、特に大きな影響を受けている飲食店や旅館、旅行業などには小規模な零細事業者が多く、そうした零細事業者の廃業なども増加しているのではないかと思われます。

特に今、忘年会シーズンを感染拡大の第3波が直撃している、飲食業を中心に、小規模商店などではすでに廃業された方や、年し越しが厳しいとおっしゃられる方もおられるなど、地域からは悲痛な声も聞かれる状況となっています。

そこで小規模零細事業者の経営実態の把握や把握方法なども含め、新型コロナウイルスの影響による本県企業の倒産件数並びに小規模商店など零細事業者の現状と支援策について商工労働部長にお伺いしたいと思います。



(3)医療従事者の方々への支援

新型コロナウイルス感染症の拡大で、医療従事者の方々の健康や生活、雇用へのしわ寄せが更に深刻化しています。

特に、この間新型コロナウイルス医療現場の最前線で頑張り続けられている医療従事者の方々は、感染リスクや差別、偏見と闘いながら、国が進める旅行どころか、地元での会食さえも制限される状況の中で、新型コロナウイルス対策現場の最前線で感染へ不安を抱きながらも私たちの命と健康、生活を守り支える仕事を担ってくれています。

そうした厳しい環境の中で頑張られている皆様が安心して業務を続けられるためには、賃金の割り増し支援はもちろん、過重労働の制限、職場内での感染防止、差別や偏見をなくす対策、心のケア、健康相談体制の確立など、現場現場に応じた、様々な支援策が必要と考えます。

そこで本県の新型コロナウイルス最前線現場の医療従事者の方々が安心して働き続けられるための支援について健康政策部長にお伺いしたいと思います。


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3.高収益作物次期作支援交付金について

次に、新型コロナウイルス対策における国の高収益作物次期作支援交付金についてお伺いしたいと思います。

高収益作物次期作支援交付金については、新型コロナウイルスの影響によって、今年2月から4月に卸売り市場における売り上げが、前年同月比で2割以上減少した野菜、花き、果樹、お茶などの高収益作物を出荷した農業者に対して、反当たり5万円を基本単価に、次期作に前向きに取り組むための面積に応じて定額交付などを行う事業ですが、
当初予算額242億円に対して第2回の公募において予算額を大きく上回る申請があったことや、交付金の創設当初は要件を簡素で弾力的にしていたことから、新型コロナウイルスの影響を受けていないのに交付金が支払われる矛盾が生じる懸念などから、10月に交付要件が急きょ見直され、その結果、交付金の減額や支援対象から外れる農業者が全国で相次ぎ、交付金をあてに、機械や資材などを購入していた農業者もあったことから、全国のJAなど、支援機関の窓口などで混乱が生じる事態ともなりました。

その後、交付金をあてに新たに機械や施設の整備、資材などを購入、発注された農業者などに対しては、追加の支援措置が行われるなど、制度の紆余曲折はありながらも、新型コロナウイルスの影響によって厳しい生活をしいられている農業者への救済支援施策が行われてきているものと理解しております。

そこで、高収益作物次期作支援交付金の運用見直しに対して、県としてどのように取り組まれてこられたのか農業振興部長にお伺いしたいと思います。


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4.デジタル行政への対応

(1)本県におけるデジタル推進部創設の検討など組織体制の整備

次に、デジタル化への対応についてお伺いしたいと思います。菅新政権は、デジタル立国を掲げ、情報技術の様々な社会への導入や官民のデジタル化などを推進していくため、IT基本法改正などの法整備を進めるとともに、国の各省庁から職員を集め、さらに職員の2割以上をIT技術の高い民間人から登用するなど500人規模のデジタル庁新設の準備を進められています。

デジタル庁の創設によって、これまで、それぞれ各省庁や地方自治体で整備されてきた情報システムの連携や統合、標準化などの推進が図られ、地方自治体におけるシステム経費や業務量の削減にも期待がされています。

本県では、国に先んじて昨年度から庁内各部局の職員からなる「行政サービスデジタル化推進会議」を発足させるとともに、本年3月には行政サービスデジタル化推進計画をスタートさせるなど、行政のデジタル化の取り組みが進められ、知事からも来年度に現行のデジタル化推進組織を本部会議に格上げすることも表明がされています。

そこで、国のデジタル庁創設などに併せた、デジタル推進部創設の検討など本県のデジタル行政推進体制の整備について総務部長にお伺いしたいと思います。



(2)デジタル人材の確保策

デジタル化が急速に進む一方で、地方自治体や学校現場などにおける、デジタル人材の不足が課題ともなっています。

デジタル機材や端末、Wi-Fiなど通信環境の設定、各業務のシステムサーバの管理、メンテナスなど多種多様なデジタル器材を安定して稼働させるためには、その職場や職域において、デジタル技術に知識のある人材、いわゆるデジタル人材は欠かせない存在ともなっています。

私が教育委員会事務局で働いていた時には、たまたま事務局職員の中にシステムエンジニア経験者やネットワークなど情報通信技術に長けた職員がいたことから、その職員が通常業務の傍ら、毎日のように、学校や役場などの現場に出向き、職場のデジタル環境やシステムサーバの管理、時には、壊れた端末のメンテナンス作業も行うなど、その職員の技術力によって、学校や役場などの通信を含むデジタル環境が安定的に運用されていたことを思いだします。

国では来年度のデジタル庁の創設に併せて、民間登用を含めた情報技術人材の確保策を進めており、今後、全国でそうした情報技術人材の争奪戦が行われることも予想もされ、特に地方における情報人材の確保は困難でもあることから、早め早めの対策も必要ではないかと考えます。

そこで、本県におけるデジタル人材の確保策について総務部長にお伺いしたいと思います。



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5.県立日高特別支援学校寄宿舎の老朽化対策

次に学校施設の整備についてお伺いいたします。
時代や環境に応じた特別支援学校の整備が進む中、本県においても県中央部において、児童生徒数の増加に伴って校舎が手狭になってきたことから、新たな知的障害の特別支援学校の整備が計画され、令和4年度の開校に向け、高知江の口特別支援学校校舎の改修に向けた作業が進んでおります。

そうした中、私はこの夏、コロナ禍の短い夏休み中に、地元にある日高特別支援学校に同校のPTAの役員さんとともに学校を訪問させていただきました。その中で、特に気になったことが、寄宿舎の老朽化による課題です、寄宿舎では、湿気が多いためカビが発生しないようエアコンによる除湿や、教職員が度々畳をあげるなど日頃からの努力により対応がされているものの、その老朽化による衛生環境も心配される状態となっており、偶然、我が子の生活している部屋を見たPTAの役員のお父さんさんからも、その状況を心配される声もありました。

校長先生や教職員の先生方にお話しをお伺いすると、同寄宿舎は昭和40年代前半に建てられて以降、一部の改修を行ったものの補修程度にとどまっており、数年前から改築の要望をされているものの、施設改修の優先度などにより、改修計画がなかなか前に進まない状況になっているとのことでした。

一方で県全体を見た時には、ここ数年の間にも様々な大規模施設などが整備、改修がされてきており、執行部には何よりも今日、今もそのような厳しい環境で、生活をされている子ども達がいるということをご理解をいただき、早急な生活環境改善の取り組みを願うものであります。

そこで、日高特別支援学校寄宿舎の老朽化対策の現状について教育長にお伺いしたいと思います。


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6.骨髄ドナー登録事業の現状と課題

6次に骨髄ドナー登録事業についてお伺いしたいと思います。骨髄ドナー登録事業は、白血病をはじめとする血液疾患などのため「骨髄移植」が必要な患者さんと、提供するドナーをつなぐ事業ですが、移植を希望する患者さんを救うためには、早期にドナーを決定し、必要な患者さんが1日でも早く移植手術を受けられることが必要となりますが、適合するドナーが見つかる確率は兄弟姉妹の間でも4分の1、血の繋がっていない他人ともなると、数百から数万分の1とされていることから、一人でも多くの方にドナー登録をしていただくことが必要とされています。

骨髄バンクのドナー登録は18歳から54歳までできますが、骨髄バンクに登録し、移植を待つ患者さんのうち、移植手術までつながるケースは約55%、残りの45%の内、約半数がドナー候補者が見つかったとしても、その後に仕事やドナー候補者との連絡がつかないなど様々な理由から移植ができないという現実もあります。 

私自身も、骨髄バンクのドナー登録をしていたところ、ある日突然、「あなたとある患者さんのHLAが一致し、ドナー候補者に選ばれました」と通知が届き、人のお役に立てるのではあれば、と入院の日取りまで調整していたところ、その後私自身の疾患が原因で提供することができず、自分の不甲斐なさに情けない気持ちになった経験もありますが、骨髄の移植提供までには、私のように適合の通知を受け候補者となっても疾病などが原因で提供できないケースをはじめ、仕事の都合や周囲の理解が得られないケース、検査や骨髄提供のための通院や入院時間の確保ができないなど、骨髄を提供して患者さんを助けられるまでには様々なハードルがあり課題も多いのが現状となっています。

また、今年に入ってからは新型コロナウイルスの影響により、新規ドナー登録者数が大きく落ち込んでいる状況ともなっています。

そうしたことから、骨髄ドナー登録事業の啓もう活動や各事業所におけるドナー特別休暇制度の導入をはじめ、本県でも平成27年より高知黒潮ライオンズクラブが民間で全国初となる助成制度を創設され、その後、県も助成制度を創設されておられますが、県の助成制度は、現在県内で制度を制定している約半数の市町村のみに限られていることから、県内全ての市町村における助成制度の創設が望まれています。

そこで、本県の骨髄ドナー登録事業の現状と課題について健康政策部長にお伺いしたいと思います。


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7.自然史標本について

(1)自然史標本の現状と課題

次に、自然史標本についてお伺いいたします。人口の増加や資源エネルギーの消費、社会経済活動の拡大、工業化の進展などによって地球環境の破壊が急速に進む中、近年、地球環境の保全対策における、自然史の果たす役割が重要となってきています。

自然史の中でも特に自然史標本は、生物など自然物の収集、整理、保管などによって過去と現在の地球環境を体系的に知ることもでき、未来への重要な教材ともなることから、守らなくてはならない貴重な財産ともなっています。

そうした中、本県の自然史標本の現状は、主に動植物の標本を県内10施設で保管しているものの、そのうち専用の保管場所は5施設にとどまっており、その他については、施設の空きスペースでの保管など、収容余力のない状態が続いています。

さらに研究者や収集家の高齢化などにより、近い将来その貴重な標本が、本県から県外へと流出する可能性が極めて高い状況ともなっていると言われています。

県外への流出などによって失う恐れのある標本の中には、県のレッドリストで、絶滅や絶滅危惧に指定されているものなど本県の自然環境の歴史にとって大変貴重で重要なものも多く含まれることから、自然史標本を県内で将来にわたって保管管理し、とどめ置くことができる環境を整える必要性が高くなっているのではないかと思います。

そこで、本県の自然史標本の現状と課題について林業振興・環境部長のご所見をお伺いしたいと思います。



(2)自然史標本などの管理に取り組む県の支援並びに支援体制

また、自然史科学や生物多様性などについて、学習や研究が行える環境を整えることは、自然環境の歴史を知り、未来へと繋いでいくうえでも大変重要なことであり、未来を担う子ども達にとっても動植物など生物の歴史を学ぶ貴重な機会の創出の場ともなると思います。

そうした環境を整えるためには、自然史を扱う人材の育成や基礎的データの収集、大学や関係機関との連携、さらに将来的には、標本の収集、保管と併せて研究者をはじめ多くの県民に利用していただける「自然史博物館の整備」についても検討に値するのはないかと考えます。

そこで、今後の自然史標本などの管理に取り組む県の支援並びに支援体制について、林業振興・環境部長のご所見をお伺いしたいと思います。


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8.仁淀川流域の課題と振興

(1)仁淀川清流保全条例

最後に、仁淀川流域の課題についてお伺いしたいと思います。
本県の北西部を流れる仁淀川は、その源の石鎚山から、愛媛県の3市町、高知県の7市町村を経由して太平洋へと注ぐ1級河川で、国土交通省が実施している全国水質調査において何度も日本一に輝くなど、その美しさは「仁淀ブルー」とも表現され、近年では、アウトドアのメッカとしても全国、世界から人々が訪れるようになってきています。

また、仁淀川は、流域人口の減少による過疎化や森林や田畑の荒廃、ダム建設などにより、水源涵養機能の低下や動植物など生態系への影響を受けながらも、地域住民は大雨や災害と戦いながら、仁淀川を愛し、ともに暮らし、日本一の美しい水質や景観を大切に守ってきました。

その日本の大切な資源、宝ともなっている仁淀川を守り後世にしっかりと繋げていくために、その理念などを明確にした保全条例の制定などにより仁淀川をオール高知で守り未来へ繋げていく必要があるのではないかとの思いから、以前の県議会において保全条例の制定をご提案させていただき、当時の知事からは流域住民の皆様や関係市町村などの御意見などを踏まえ、その必要性を検討していきたいと、前向きなご答弁もいただいているところです。

そこで、その後の検討状況も含めて仁淀川清流保全条例の制定について林業振興・環境部長にお伺いしたいと思います。



(2)新産業廃棄物最終処分場整備に係る流域住民の不安解消の取組と地域振興策

さきほど午前中に、加藤議員からの質問に対する知事からの答弁もございましたが、私からも新産業廃棄物最終処分場整備に係る流域住民の不安解消の取り組みと佐川町の地域振興策についてお伺いしたいと思います。

日高村の産業廃棄物最終処分場「エコサイクルセンター」が3年後にも満杯となることから、次の埋め立て場所として佐川町加茂が県内で最も適地とされ、現在、同地区に新たな産業廃棄物最終処分場の整備が急ピッチで進められておりますが、再び産廃施設が整備されることとなった仁淀川流域の住民の方々には控えめで辛抱強い方が多く、そうした地域性からか、これまで道路などの社会インフラ、社会基盤の整備は遅れに遅れてきており、そうした、つましい地域住民の暮らしの中に、そのほとんどが都市部から出される産業廃棄物が再び持ち込まれることに対して、流域住民の思いにも複雑なものがあることから、産廃施設整備うんぬんの前に、国道や県道の改良、河川改修など、地域の社会基盤整備の道筋をしっかりと示した上で、議論を進めることも必要であると要請もさせていただいてまいりました。

現在、関係者の皆様のご理解をいただき、国道や県道の改良、河川の増水対策など流域住民の不安解消のための取り組みと併せて、受け入れ自治体となった佐川町の地域振興策の取りまとめ作業も急ピッチで進められている状況となっていますが、特に国道や県道、河川改修など流域住民の不安解消のための取り組みについては、これまでになされてこなかったことにも問題もあると考えており、今後、国や流域の関係自治体などと連携をさらに強化していただきながら県が主体性を持って、しっかりと事業を進めていただきたいと思っております。

また、佐川町の地域振興策については、佐川町役場との連携を密に、佐川町民の意見や意向など町民ニーズに沿った、町民とのコンセンサスをしっかりと図ったうえで事業を進めていただくことを要請しておきたいと思います。

そこで、新産業廃棄物最終処分場整備に係る、流域住民の不安解消の取り組み及び佐川町の地域振興策について、高知県・佐川町連絡会議で最終取りまとめを担当されておられます岩城副知事にご所見をお伺いしたいと思います。



(3)国道33号整備促進

新産業廃棄物最終処分場の整備や観光交流人口の増加など、仁淀川流域を取り巻く環境や状況が大きく変化している中、その仁淀川流域内を走る高知市と松山市を結ぶ国道33号は、高速道路などの代替道路もなく、地域の大動脈でありながら、所々で慢性的な渋滞も多く発生、仁淀川町や越知町の一部では、雨量による事前通行規制によって、住民の通勤、通学、通院などの日常生活にも支障、影響を及ぼしており、その改良や整備の促進は沿線地域住民の悲願ともなっています。

近年には、沿線市町村の首長や県議会議員らで構成する国道33号期成同盟会において、国土交通省や財務省、県選出国会議員などに対する道路財源の確保や早期の整備促進といった要望活動なども積極的に行われるようになり、これまで高知西バイパスの一部や日下橋、橘中津トンネルの完成など、ところどころの整備は進んできておりますが、高知西バイパスの更なる延伸や大雨時の事前通行規制の解消、慢性的な渋滞の解消など、まだまだ課題が多いのが現状となっています。

沿線住民にとって、安心で安全な生活を送るための悲願でもある、国道33号の一日も早い整備促進、加速化の道筋について土木部長にお伺いいたしまして、1問目とさせていただきたいと思います。


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●濵田知事

大野議員からの御質問にお答えをいたします。

まず、知事就任1年で見えてきた課題と理想の県政について、お尋ねがございました。
知事就任後1年が経過いたしましたが、この間、県民座談会などの機会を通じまして、県内各地の実情について、県民の皆様からお話を伺ってまいりました。その際、さまざまな分野におけます人材不足、あるいは、後継者不足、さらには、中山間地域の厳しい現状などについて御意見が寄せられております。高齢化や過疎化に悩む地域が抱えている課題の深刻さを改めて感じているところであります。

本県が直面しているこうした課題を克服するためには、根本的な解決に向けまして、現状をしっかりと踏まえた分析と、腰を据えた取り組みが必要になります。そのためには、地域を支えている県民の皆様との対話を通じて、県政に対する共感をいただきながら、また、課題の解決に向けて着実に前進をすることが何よりも重要であると考えます。

具体的には、関西圏との経済連携あるいは地産外商といいました経済の活性化など、さまざまな施策を展開することによりまして、県民の皆さんが誇りと志を持って住み続けられる地域づくりを行ってまいります。引き続き、産業振興計画あるいは日本一の健康長寿県づくりを初めといたします、県政浮揚に向けた政策群を継続強化し、さらに発展をさせていきたいと考えています。

新しい時代の視点に立ちまして、有識者などのお知恵もお借りしながら、就任当初から掲げております基本姿勢でございます、共感と前進を今後もしっかりと堅持をして、県政運営に当たってまいりたいと考えます。


次に、新型コロナウイルス感染症から県民生活を守りぬく決意と、感染拡大防止に関する具体的な対策について、お尋ねがございました。
2月に県内で感染が初めて確認されて以降、これまで、1つには、感染予防、感染拡大防止策、2つには、情報発信、相談体制の整備、3つには、経済対策。この3つを対策の柱といたしまして、県民生活を守り抜くためのさまざまな施策を講じてまいりました。春の全国第1波の際には、急激に悪化する経済状況に対応するために、県単独の融資制度を新たに設けるといった形で、生活、雇用を守るための対策に重点を置いてまいりました。

緊急事態宣言の解除以降、社会経済活動の回復と感染拡大防止の両立という重い命題が課せられることになりました。こうした中で、県内の感染が比較的落ち着いていた時期には、社会経済活動の回復にウエイトを置いて施策を展開してまいったところであります。

しかしながら、11月に入りまして、全国的な第3波と言われる感染の波が訪れております。本県でも11月の末以降、感染が急拡大をしておりまして、感染拡大防止によりウエイト置いた対策が必要な段階に移ってまいったという認識をいたしております。

このため、本来であれば、県民生活への制約はできる限りかけたくないという思いで一杯ではございますけれども、今この時点では、この段階では、これ以上の感染拡大を防ぐというために、昨日、飲食店などへの時間短縮営業の協力要請に踏み切ったところであります。あわせまして、飲食店などへの経済的なダメージを最小限に食い止めるために、こうした要請に御協力いただいた店舗には協力金をお支払いすることといたしております。

今後も、県内の感染状況そして経済の状況を見きわめながら、スピード感をもって、取り得る対策を総動員しまして、県民の生活、健康生活を守ることを第一義に、難局に立ち向かってまいる覚悟であります。


次に、令和3年度の予算編成に当たっての基本的な考え方について、お尋ねがございました。
来年度の当初予算の編成に当たりましては、まずは、新型コロナウイルス感染症による影響を最小限に食い止めるために、感染拡大防止対策と社会経済活動の回復の両立に最優先で取り組んでまいります。

その上で、歳出については、5つの基本政策、3つの横断的政策の枠組みは維持をしながら、地方に新しい人の流れを呼び込む取り組み、あるいは、あらゆる分野のデジタル化を推進すると、こういった形で社会の構造変化を踏まえた施策を進化させる必要があるというふうに考えております。

一方、歳入面では、新型コロナウイルス感染拡大の収束の見通しが立たない中で、来年度の県税収入などへの影響は避けられないというふうに考えております。そのため、国の有利な財源の活用、スクラップアンドビルドの徹底、事業の選択と集中、こういったことに取り組みまして、必要な財源の確保に努めてまいります。
 さらに、今後は、国の今年度の第3次補正予算案、あるいは、令和3年度の当初予算案の動向を踏まえました上で、本県が直面をいたします行政課題の解決に向けて、国の施策を最大限に活用するように工夫を凝らしてまいります。
 こうした考え方を基本としながら、新型コロナウイルスの感染拡大防止対策をさらに強化をするとともに、県政の浮揚、県財政の持続可能性、この2つが両立をしていくように、これからの予算編成に全力を傾けてまいります。


次に、関西圏との経済連携にIR、いわゆる統合型リゾートでございますが、これを含めることの必要性、意義について、お尋ねがございました。
大阪府及び大阪市が策定をいたしました大阪IR基本構想におきましては、カジノなどのエンターテイメント施設がございますけども、これ以外にも国際会議場や展示施設などが一体となりました複合施設が整備されるという見込みであります。カジノが占める割合はかなり限定的で、全体3%とかそういった規模だということであります。加えまして、地方も含めた日本の魅力の発信の拠点、あるいは、日本各地への観光の玄関口となる観光のゲートウェイの形成などを、このIRにおいては目指していくということが明記をされております。そして、このIRには、世界中から年間1,500万人の来場を見込んでおりまして、極めて大きな経済波及効果が期待されているところであります。

お話がございました関西・高知経済連携強化のアドバイザー会議におきましても、このIR、大阪のIRにつきまして、1つには、今後10年、20年を見据えた場合、万博のほうは開催期間が半年間限定でありますが、IR自体、恒久的な施設でありますから、この夢洲に隣接して整備されている万博IRを一体的に捉えて、高知県経済の活性化につなげるべきだという御助言をいただきましたし。また、別の方からは、施設内で開催をされる国際的な展示会、フェアに世界中のバイヤーが集まることになる。そういった場を外貨を稼ぐ場として活用し、県産品の外商拡大につなげるべきではないかといった御意見もいただいているところでございます。

こうした御助言も踏まえまして、関西圏の経済活力を継続的に本県の経済の活性化につなげていくためには、IRも含めて戦略を策定し、取り組みを進めていくということが効果的であるというふうに考えているところであります。

引き続き、アドバイザーの皆さんからの御意見も踏まえまして、本県への観光客の誘致、あるいは、県産品の外商拡大などに向けました具体的な方策を練り上げまして、実効性のある戦略を策定してまいります。


次に、関西圏との経済連携における大阪府政に対する所見について、お尋ねがございました。
私は、以前、大阪府の副知事を務めておりました関係がございまして、私も知事就任した直後に、吉村大阪府知事あるいは松井大阪市長、それぞれ副知事として仕えておった関係でございますので、お二方を初めといたします関西圏の行政機関、経済界の皆様のもとを訪問いたしまして、関西圏との経済連携について協力を求めるということかたがた、御挨拶に上がったところであります。

こうした関西圏との経済連携におきます大阪府政に対する所見をというお尋ねでございましたけれども、御指摘がございましたように、大阪都構想、あるいは、コロナ対策、同じ地方自治体として、その動向は、常に、私自身、注視をしております。しかしながら、大阪府と本県では、行政を取り巻くさまざまな環境なども当然異なっておりますので、こうした議場の場で、高知県の知事として、大阪府政における個々の取り組みについて、いちいち所見を申し上げるということは差し控えるべきであろうというふうに考えております。

一方で、関西圏との経済連携に関しましては、3本柱として、観光推進、外商拡大、万博IR連携を戦略の柱と考えておりまして、具体的な連携のための取り組みといたしましては、関西の中では大阪観光局でございますとか、関西経済同友会、あるいは、関西エアポート、こういったところとの関係の構築を図りながら、本県の経済の活性化につなげたいというふうに考えているところでございます。

もちろん、こうした経済連携の強化のために、大阪府の知事やあるいは大阪府の幹部職員との間で直接やり取りを行うことが必要な局面が現れましたら、私自身、積極的に意思疎通を図ってまいります。これまで培ってまいりました、こうした人脈、御縁を最大限活用しまして、万博などの大規模プロジェクトが予定される関西圏の経済活力をぜひ本県に取り込んでまいりたいと考えております。


次に、阪神タイガースとの連携について、お尋ねがございました。
関西との経済連携戦略におきましては、観光推進プロジェクトの中に、スポーツを通じました交流人口の拡大を位置づけまして、プロやアマチュアスポーツのキャンプの誘致を進めるということを考えております。現在、阪神の球団には11月に一軍を中心とした秋季キャンプ、2月に二軍の春季キャンプを行っていただいておりまして、ぜひ継続して実施していただきたいと考えております。また、これまでにも、甲子園球場で安芸市と合同の高知県フェアを開催するといった形で、球団とは良好な関係を築いてきております。

先日、引退試合を行われました藤川球児投手に、これまでの御活躍への感謝の意味を込めて、高知黒潮感動大賞を授与させていただきました。これからのさらなる御活躍を、私としても非常に期待いたしているところでございます。

今後、藤川球児さんは、阪神球団のスペシャルアシスタントとして御活躍をされるというふうにお聞きしておりますので、関西と高知の橋渡し役として、高知県のPRにぜひ御協力お願いしたいとも考えているところであります。

また、先だって、藤川さんが高知に帰省をされました折りには、御自身から子供たちに夢や希望を与えられるように、例えば、野球教室、イベント、こういったものに参加をしたいという御意向も伺いましたので、こういった野球教室、イベント等に藤川さんに参加をいただくというような形で、スポーツへの関心を高める取り組みを行うことを検討してまいりたいと考えております。

関西圏との経済連携を進める中で、本県の強い味方であります藤川さんの御協力をいただきながら、阪神タイガースとの連携を深めてまいりたいと考えております。


次に、牧野富太郎博士の検証活動について、お尋ねがございました。
牧野博士は、県民の誇りであります。博士の残された植物図あるいは植物標本は、県民共有の財産として、県立の牧野植物園で管理をしております。県では、これらの財産を生かしまして、園の新たな魅力を創出するための磨き上げを進めております。

博士の生誕160年にあたります、令和4年は、博士ゆかりの地におきまして、さまざまな記念行事が検討されております。私も、その実行委員会の顧問として、参加をさせていただいているところございます。県といたしましても、牧野植物園において、連携したイベントなどを開催してまいる考えであります。あわせまして、記念事業の開催に当たりましては、観光プロモーションも実施をいたしまして、牧野植物園や博士ゆかりの県内各地への観光客の誘致にも努力してまいりたいと考えております。

また、お話がございました「朝ドラに牧野富太郎を」の活動を行っている会におきましては、昨年に引き続きまして2度目となりますNHKへの要望活動を行っておりまして、私も、先だって、会の顧問という位置づけで同行させていただきました。実現をしませば、博士の偉業を全国に伝えられる、あわせまして、関係する地元のPRの効果にもつながりまして、観光振興の上でも大きなインパクトが期待できると考えますので、県としても全面的にこの誘致の活動をバックアップさせていただきたいと考えております。


次に、中山間地域あるいは奧山間地域への思いと、その振興のための市町村政との連携について、お尋ねがございました。
冒頭にもお話がありました、県民座談会「濵田が参りました」を初めとします、さまざまな機会に中山間地域での生活に触れ、また、お住まいの皆様の思いを直接お伺いする機会を得てまいりました。そうした中で、例えば、飲料水の確保自身に苦労されている、あるいは、日用品の買い物も思うようにままならないといったような話、そして、農作物の鳥獣被害が深刻である、後継者不足、若手の人々がいない、少ないと。こういった形で多くの切実な声をお聞きいたしまして、これは、東京で生活をしていたころの自分からすると、いわば想像以上に、高齢化であったり、地域の過疎化の課題というのは深刻な状況だということを実感いたしております。

こうしたことから、私自身、就任当初から危機感を持ちまして、中山間地域の振興に取り組んでまいりましたけれども、この1年間でこうした現状の厳しさを改めて実感をいたしまして、中山間地域への思いを強くしたところでございます。

この対策の核となります集落活動センターは、現在32市町村の61カ所まで広がりを見せております。一方、運営に携わります人材の育成、あるいは、収入、財源の確保など、センターの継続的な運営に向けました課題の解決が求められているという現状にあると認識をしております。

こうしたことから、今年度、県庁におきます中山間総合対策本部の会議では、集落活動センターの活動の継続、発展をテーマに議論を重ねてまいりました。議員からもお話がございましたように、集落活動センターを初め、中山間地域の振興に向けましては、市町村との連携、協調が不可欠であります。このため、今後とも市町村と歩調をあわせまして、地域の現状やニーズを把握しながら、例えば、飲料水や移動手段の確保、鳥獣被害対策などにもしっかりと取り組みたいと考えております。

また、集落活動センターの取り組みが、来年度10年目の節目を迎えます。私自身もさらに多くの機会を捉えて、地域にお伺いをしまして、中山間総合対策本部の本部会議での議論も踏まえまして、市町村とともに地域が抱える課題に向き合ってまいりたいと考えております。今後とも、高齢者の暮らしを守り、若者が住み続けられる中山間地域の実現に向けて、さらに前進をしてまいりたいと考えております。


最後に、ふるさと納税制度に対する認識について、お尋ねがございました。
ふるさと納税制度は、もともとは納税者が税制を通じまして、ふるさとへ貢献できる仕組みができないかという思いのもとに導入をされたというふうに考えております。この制度による寄附金は、地域における子育ての支援、防災対策、観光振興など、地域の活性化に資する事業に活用されておりまして、この仕組みそのものは有意義な取り組みであるというふうに考えております。加えて、寄附のお礼として始まった返礼品につきましても、地元の農産物や海産物などを加工して提供されるという形で、地域の雇用の場の創出あるいは産業振興にもつながっていると、そういう効果を持っているというふうに考えています。

そのような中でありますが、近年、この返礼品の提供が過度に及んでいるということが問題となりまして、令和元年の4月には地方税法が改正されたわけでございます。この法改正によりまして、返礼品割合の3割の基準ですとか、地場産品の基準、こういったものが法に明記をされまして、この基準を遵守していなかった奈半利町は、残念ながら指定を取り消されることになったと、御指摘のとおりでございます。

各自治体におかれましては、見直しされた制度のもとで、ふるさと納税の本来の趣旨であります、地域の魅力を発信することで寄附につなげるということが、今一番求められているというふうに考えております。このふるさと納税制度におきまして、納税者は寄附を通じて地方行政への関心と参加意識を高めていく。一方で、自治体は納税者の志に応えられる施策の向上を図っていく。こうしたことを通じて、地域に活力をもたらす、そういう制度として良識ある運用によって、この制度が維持されていくべきではないかというふうに考えております。
私からは、以上であります。


●井上総務部長

まず、ふるさと納税制度に対する県や国のチェック体制について、お尋ねがありました。
まず、国においては、毎年6月ごろに、全ての自治体の前年度の運用状況を把握し、検証するための調査を実施しております。この調査では、年間の寄附総額に対する返礼品の調達費用が3割以下、調達費用と送料などを含む募集経費全体が5割以下であること、そして、寄附額上位10品目について地場産品であることなどが確認をされておりまして、毎年8月に公表されております。あわせて、今年度からは、8月のふるさと納税の指定団体の申し出の際に、提供予定の全ての返礼品の地場産品基準を確認するなど、チェック体制の強化も図られております。

また、こうした国の調査は、県を経由して行われておりますので、県では、調査を通じた運用上の課題について、個別に市町村にヒアリングも行い、解決に向けた助言も行っております。あわせて、市町村を直接訪問し、実地調査や意見交換なども随時行なっているところであります。

今後も、ふるさと納税の適正な運用に向けまして、実地調査などを通じまして、各市町村の返礼品等の内容を十分確認するとともに、市町村に対しましては、きめ細かなアドバイス、そして、サポートもしてまいりたいと考えております。


次に、県のデジタル行政推進体制について、お尋ねがありました。
本県におけるデジタル化の推進につきましては、行政サービスデジタル化推進計画に沿った取り組みを進めているところであります。

ただ、このコロナ禍を契機とした社会経済構造の変化に対応する必要がございますので、本年度中にこの計画をさらにバージョンアップすることといたしております。バージョンアップに当たりましては、5つの基本政策や3つの横断的政策に関連する各計画の中に、例えば、産業振興計画における強化のポイントでありますデジタル技術と地場産業の融合のように、デジタル化の取り組みを柱として位置づけまして、あらゆる分野でのデジタルシフトを加速化していくこととしております。さらに、その柱をデジタル化推進計画にも盛り込み、来年度からは部局長で構成するデジタル化推進に関する本部会議において、KPIの達成に向け、しっかりとPDCAサイクルを回してまいりたいと考えております。

このバージョンアップするデジタル化推進計画を強力に推進していくための、来年度の県の組織や体制につきましては、まずは、行政のデジタルシフトを強力に推進する体制が必要であること。また、県の各種計画における各分野のデジタル化の取り組みにつきましては、既に、それぞれの部署で体制を組み、強力に展開されていること。このため、国のようにデジタル化関連予算の一元化といったことまでは視野に入れてないと。こういう視点も踏まえまして、検討を急いでまいりたいと考えております。


最後に、本県におけるデジタル人材の確保について、お尋ねがありました。
県では、これまでも情報システムの調達や県庁ネットワークのセキュリティ対策の強化といった課題に対応するため、専門性を有する任期付職員を外部から採用するなど、デジタル人材の確保に努めてまいりました。また、人材育成の面でも、職員に対するRPAの作成や情報技術に関する研修を実施するとともに、本年度からは、新たに地方工業団体の情報化推進に関する支援事業を行っております地方公共団体情報システム機構に若手の職員を派遣するなど、デジタル人材の育成にも努めているところであります。

一方で、今後、あらゆる分野でデジタルシフトに向けた取り組みが加速していく中、県として、デジタル分野における、より高度な知識やスキルを有する人材を確保する必要性が一層高まるものと考えております。このため、こうしたスキルを持った即戦力となる職員の採用について、社会人経験者採用などの仕組みを活用しながら、早急に検討を進めてまいりたいと考えております。

あわせまして、デジタルシフトの時代の職員には、データを基に施策を立案する想像力や、それを県民の皆様にわかりやすく伝えるコミュニケーション力などがさらに求められてくるものと考えておりますので、職員研修の内容の見直し、あるいは、充実についても図ってまいりたいと考えております。


●松岡商工労働部長

まず、解雇や雇いどめ人数と、非正規労働者など厳しい雇用環境にある方への支援について、お尋ねがございました。
本県においては、これまでに新型コロナウイルス感染症による経済影響対策として、3つの局面に応じたさまざまな取り組みを行ってまいりました。第1の局面である事業の継続と雇用の維持においては、全国に先駆けた県独自の実質無利子の融資や給付金を創設するなどの対策を実施してきたところです。こうした経済影響対策に加え、労働局と連携し、雇用調整助成金や新型コロナウイルス感染症対応休業支援金、給付金など、新型コロナウイルス感染症に起因する国のさまざまな支援制度についても、広く県民や企業の方々に周知し、その活用を呼びかけてまいりました。

こうした一連の取り組みの結果、厚生労働省が発表している解雇や雇いどめの数は、12月4日現在、全国で7万5,000人を超える中、本県のみが2桁台の69名にとどまっており、全国で解雇等の数が最も少ない状況となっているところです。

しかしながら、まことに残念なことに、先月末以来、新型コロナウイルス感染症の感染が急速に拡大し、昨日、県内全域の飲食店等を対象とした15日間の営業時間短縮の協力要請がなされたところです。まずは、御協力いただく皆様の事業の継続と雇用の維持に向け、協力金の早期の給付に努めてまいります。あわせて、県内の雇用失業情勢について注視し、足らざる施策がある場合には強化してまいりますし、必要に応じて国への政策提言も行ってまいります。


次に、本県企業の倒産件数、並びに、小規模商店等零細事業者の現状と今後の支援策についてお尋ねがございました。
まず、県内の新型コロナウイルス感染症関連の倒産件数は、民間信用調査会社2社の調査では、1件または2件となっており、他県に比べ極めて少ない状況にあります。しかしながら、現状は、各商工会や商工会議所、高知県事業引継ぎ支援センター等への相談状況などからしても、厳しい経営環境にあり、また、休廃業を検討されている事業者が増加傾向にあると考えております。地域の小規模事業者の皆様に、引き続き、事業を行っていただくことは、地域の賑わいや活力の維持、さらには、今後のスムーズな景気回復につながるものと考えています。

このため、県においては、これまでにも、まず事業の継続、そして、ウイズコロナ、アフターコロナへの経営環境に対応していただくための支援を行ってきたところです。

今後は、まずは営業時間短縮の協力要請を受けた協力金の迅速な給付に努めてまいります。あわせて、県内の経済状況や事業者のニーズを引き続きしっかりと把握しながら、事業の継続、そして、新たな経営環境への適応に向けた事業承継も含めた必要な対策の強化を図ってまいります。

●鎌倉健康政策部長

まず、新型コロナウイルス感染症対策の最前線で働く医療従事者の方々が、安心して働き続けられるための支援について、お尋ねがありました。
新型コロナウイルス感染症の対応に直接当たっておられる方はもちろん、そうでない方も含めて医療に携わっていらっしゃる従事者の皆さんは、ご自身が不安の中でも患者さんの不安を和らげながら日々懸命に対応してくださっています。そうした方々に対し、これまで、県では、慰労金の給付や特別勤務手当を支給する医療機関に対する支援などを行い、その処遇改善に努めてまいりました。また、従事者の方の感染リスクを低減させるため、院内等での感染防止対策に要する費用を補助する支援金の支払いや、マスクを初めとする感染防護具の支給などを通じて、医療機関等での感染防止対策の支援も行ってまいりました。そして、電話相談窓口を設置し、感染症対策に携わる医療従事者等への心ない誹謗中傷などによって傷ついた際の心のケアを図り、安心して働き続けられる環境づくりにも取り組んできたところです。

本県において、新型コロナウイルス感染症が急速に拡大している中、引き続き、医療従事者の皆様方が、この感染症に安心して立ち向かい、働いていくことができるよう、今後の国の支援策に関する動向も見据えながら、必要な対策をしっかりと講じてまいります。


次に、本県の骨髄ドナー登録事業の現状と課題について、お尋ねがありました。
県では、骨髄提供者の入院等に要する経済的負担を軽減するため、平成29年度に制度を設けて、市町村と連携して一定額を助成しています。本年度は、5つの市町が新たに制度化し、現在は計16市町で実施されています。引き続き、支援制度のない市町村に対して、より一層精力的に制度創設を御検討いただくよう働きかけ、全県で実施されるよう取り組んでまいります。

また、骨髄移植に関する普及啓発として、毎年10月の骨髄移植推進月間における各種イベントの開催のほか、各地の献血会場などで骨髄バンク制度に関するリーフレットを配布するとともに、高知県骨髄バンク推進協議会などのアンケートに御協力いただいて、骨髄ドナー登録会を開催しています。

ただ、お話にありましたように、仕事の都合や周囲の理解が得られないなど、実際に骨髄移植までつながらないといった課題もあると認識しておりますので、関係部局とも連携し、事業者の皆様へのさらなる啓発の強化などについて、検討してまいります。



●西岡農業振興部長

高収益作物次期作支援交付金の運用見直しに対する、県の取り組みについて、お尋ねがございました。
本交付金が創設された4月以降、県ではいち早く推進体制の構築を図るとともに、1人でも多くの農業者が事業を活用できるよう、関係機関や農業者に対する説明会の開催や申請書の作成に係る助言指導、国との調整などに積極的に取り組んでまいりました。特に、5月の運用改善では、本県において新型コロナウイルス感染症の影響の大きい施設メロンやししとうなどについて国と協議し、交付単価の引き上げを実現してきたところです。

こうした中、突然行われました10月の運用見直しでは、支援対象を新型コロナウイルス感染症の影響で減収した品目に限定することや、交付金の上限を減収額の範囲内とすることとなり、また、減収額を確認するために追加書類の提出が必要となるなど、農業者を初め、申請窓口である地域農業再生協議会でも大変な混乱が見られたところです。

このような状況の中、県では、直ちに関係機関への説明会を開催するとともに、地域農業再生協議会が開催する農業者への説明会にも参加し、農業者の疑問への対応や不安の払拭に取り組んでまいりました。さらに、交付金を見込んで機械や資材を購入した農業者に対して、追加された支援措置については、どのようなものが対象となるのかといった農業者からの相次ぐ質問に対し、国への確認や県独自の回答集を作成するなど、直接農業者と接する地域農業再生協議会に寄り添った対応を行うことで、申請作業が円滑に進むよう支援しているところです。

現在、12月25日の申請期限に向けまして、新型コロナウイルス感染症により影響を受けた農業者が漏れることなく支援を受けられますよう、関係機関と協力し、引き続き取り組んでまいります。



●伊藤教育長

県立日高特別支援学校寄宿舎の老朽化対策の現状について、お尋ねがございました。
特別支援学校の校区は市町村を越えた広域になりますことから、自宅からの通学が困難な児童、生徒のために寄宿舎を設置しております。日高特別支援学校の寄宿舎は、南と北と西棟の3棟があります。3棟のうち、西棟は築16年程度ですが、南棟、北棟の2棟は築50年程度となっており、洋式トイレが少ないことやベッド対応の部屋がないといった設計の古さに加えまして、修繕箇所の増加が課題となっております。

また、南棟の1階につきましては、日当たりの状況や風通しが悪い床下の構造から湿気が高く、その対策として、職員がエアコンを使った除湿をしたり、定期的に畳を上げること、畳などにアルコール噴霧を行うなどして、衛生環境の維持に努めております。

県立の学校施設の大規模な老朽化対策としましては、平成29年度に策定しました県立学校施設長寿命化計画に基づき、長寿命化改修等を進めていくこととしております。この計画では、校舎や寄宿舎等施設の目標使用年数を80年としまして、その半分に当たる築40年ごろに構造躯体の改造等の長寿命化改修を実施し、さらに、その20年後に大規模改修を実施する予防保全的な整備を行うことにより、施設を築80年まで使用することとしております。

計画の進め方としましては、計画策定時点において築40年を超える施設を有する学校につきまして、建築年数、施設の劣化状況等を考慮して順次基本設計を行い、この基本設計の中で学校全体の施設の利用方法なども検討した上で、改修等に向けた調査や実施計画を進めていくことを考えております。

日高特別支援学校の寄宿舎につきましては、生活様式の変容や子供の利便性なども踏まえて、対策を行ってまいりたいと考えております。



●川村林業振興・環境部長

まず、自然史標本の現状と課題について、また、自然史標本などの管理に取り組む県の支援について、お尋ねがございました。関連しますので、あわせてお答えいたします。

議員のお話にありましたとおり、地球環境の変遷を把握し、保全を図る上で、自然史標本は大変重要な資料となります。県といたしましても、県内の動植物についての継続的な情報収集やデータの管理のほか、標本を適切に保管していくことが重要であると考えております。県内では、自然史標本を体系的に収集管理する体制は整っておらず、県立の施設や市町村の博物館、民間の収集家などが、各分野で収集した標本をそれぞれ保管しているのが現状でございます。特に、民間で収集されている標本は、収集家の高齢化等により散逸の懸念があると認識してございます。

そこで、まずは、散逸が危惧される標本の種類や量、各施設の保管状況、収容の余力などについて情報共有を行うなど、専門家を交えながら、関係者で協議を始めたところでございます。

今後は、関係機関で連携し、課題となっている貴重な資料の適切な保管と管理の体制づくりに向けて、具体的な協議を進めてまいります。この協議を進め、当面の体制を整えながら、標本の活用のあり方につきましては、中長期的な課題として、関係者の意見を集約していきたいと考えております。あわせて、県内で、自然史に興味を持ち、標本を収集整理し、活用できる人材の育成と、そうした人材が継続して活動できる仕組みの構築についても検討してまいります。

次に、検討状況を含め、仁淀川清流保全条例の制定について、お尋ねがございました。
仁淀川の日本一の水質や豊かな自然環境は、流域の皆様の暮らしに大きな恩恵をもたらすともに、仁淀ブルーに魅せられた多くの方たちが全国から訪れる観光資源として、地域振興にも貢献しております。

県では、清流仁淀川を守り後世に引き継いでいくために、高知県清流保全条例に基づく計画として策定した仁淀川清流保全計画を、令和2年3月に改定しております。この改定に当たりましては、流域の皆様や関係団体等と協議し、流域全体あるいは地域ごとの課題や、今後必要な取り組みについて、対話を重ねてまいりました。その協議を進める中におきましては、新たな個別の条例制定の必要性までは見いだせなかったところでございます。このため、引き続き、この清流保全条例と仁淀川清流保全計画の枠組みの中で、取り組みを進めてまいりたいと考えております。

今後も、流域の皆様、流域市町村及び関係団体との連携を一層深め、仁淀川を地域の宝として未来に引き継げるよう、取り組んでまいりたいと考えております。



●岩城副知事

新たな管理型産業廃棄物最終処分場の整備に係る流域住民の不安解消の取り組み及び地域振興策について、お尋ねがございました。

新たな処分場の整備に際しては、住民の皆様の御不安を解消するとともに、より暮らしやすくなったと思っていただけるようにしていくことが大事だと考えております。この考えを基本にして、先般、佐川町との連携会議において、新処分場建設に伴う地域振興策などを盛り込んだ協定書の案を取りまとめさせていただきました。

その内容について、具体的に申し上げますと、住民の方々の不安解消のための取り組みとしては、長竹川の増水対策や上水道の整備などを進めてまいります。また、国道33号の交通安全対策について、沿線自治体とも連携し、国への要望活動を行ってまいります。地域振興策としましては、県道岩目地西佐川停車場線の整備や急傾斜地の崩壊対策のほか、公民館や道の駅の整備など、住民の方々の御意向を踏まえた各種の事業を盛り込んでおります。

このうち、県が実施主体となる事業につきましては、佐川町はもとより周辺自治体や国とも連携しながら、精力的に進めてまいります。また、佐川町が主体となる事業につきましても、地域のコンセンサスを得ながら事業が円滑に進んでいくように、佐川町の取り組みをサポートしていきたいと考えております。あわせまして、地域振興策などの実施段階におきましても、引き続き、町との連携会議の場で、進捗状況や課題を確認しながら、連携して取り組んでまいります。



●村田土木部長

国道33号の整備促進について、お尋ねがございました。
国道33号は、高知市と松山市を結ぶ主要幹線道路であり、地域の経済活動を支える産業振興の道、また、日々の安全・安心な暮らしを守る生活の道、さらに、南海トラフ地震などの大規模災害時の物資輸送を担う命の道として、大変重要な路線です。

本年1月に開通した橘中津トンネルに続き、来年秋ごろには、高知西バイパスの全線開通、令和4年度には、越知道路2工区のバイパス区間の開通が予定されております。また、いのから越知の区間では、今年度から事業化に向けた計画段階評価が進められているところです。このように、国道33号では、道路の整備が着実に進められております。

一方で、豪雨による路面冠水や朝夕の交通混雑、連続する線形不良、さらには、越知町横倉から県境までの区間が大雨による事前通行規制区間に指定されているなど、安全・安心な通行を確保する上で、まだまだ多くの課題を抱えております。

県といたしましても、地域の皆様に安心して道路を利用していただけるよう、国道33号の更なる整備促進に向け、沿線自治体の皆様と一体となって、引き続き、国への働きかけを行うなど全力で取り組んでまいります。




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2問目

■大野たつや

知事はじめ執行部の皆様から、それぞれを御丁寧な答弁をいただき、本当にありがとうございました。

新型コロナウイルスが急速に拡大しておりますので、そうした状況でもありますので、飲食店などへの営業時間短縮の協力要請とあわせての協力金の支給については、これ以上の感染拡大を防ぐ意味でもやむを得ない苦渋の決断ではなかったかと思います。

今後、国の動向も注視しながら、県内の対象事業者に対して制度の周知の徹底を行っていただきますよう要請をさせていただきたいと思います。

新型コロナウイルスによる厳しい状況は、まだまだ続きます。これからも、県民の命と健康、生活を守るための有効的な政策をより有効的なタイミングで行っていただきますよう、あわせて要請をさせていただきたいと思います。


1点だけ、コロナ対策にも通じるものと思いますけれども、国への政策提言について、知事に再質問をさせていただきたいと思います。

今日の1問でふるさと納税に関する質問もさせていただきました。私はこの事件は、この間の地方創生事業などとともに、国が地方の自治体を競わせるような政策によっておこった、というよりおこらされた事件だと思っています。

と言うのも私が勤めていたような小規模な自治体、役場では、限られた職員数で、さらに高齢化などによって福祉などのセクションに多くの人員がさかれる構造となっており、一人何役もの業務を受け持ちながらも、国の制度改正や政策の変更などにも対応しながら日々の業務を行っています。

そうした中でふるさと納税は、公務職場でありながら職員に民間のバイヤーのような役目も求められ、人員などに余裕がある自治体とそうでない自治体、結果を残せる職員とそうでない職員、また、地域内でも儲けられる人とそうでない人など、現場ではどうしようもない格差が生まれてしまいます。

私は、公務員、行政の役目は、どこに住んでいようが、誰もがその地域で安心して暮らせる土台を作る、社会のセーフティネットを張ることだと思ってきました。
そうしたことからも、地方創生やふるさと納税といった、国が上から目線で地方に財源を競わせ、地方や弱者を苦しめ、切り捨てにつなげるような政策ではなく、思い切って市町村への財源移譲を行うなど、例えば使途を市町村の裁量にゆだねた使い勝手のよい新たな交付金制度の創設や施策の提案など、厳しい地方の現場に寄り添った、地方目線から国への政策提言もしていただければありがたいと思っています。
知事のお考えをお伺いしたいと思います。


●濵田知事

大野議員の再質問にお答えをいたします。
大野議員から御指摘ございましたように、特に、本県の中山間地域の高齢化、また、人口減少が進んでおる自治体で、比較的スタッフの規模も限られているという自治体におかれましては、地方創生、あるいは、ふるさと納税といった形で、国からさまざまな地域活性化取り組み、ある意味、追い立てられるような感覚をお持ちになっているという方も少なくないということは、私自身も想像に難くないところではございます。

また、いわば現状を嘆いて、あるいは、国からの支援を一方的に待っているというだけでは、やはり道が開けないということだと思いますので、「天は自ら助くる者を助く」という言葉がございますように、やはり地域の資源もしっかり皆見つめ直して、強みを生かして、打って出ていくということ自身は大事なことだと思いますし、そうした過程の中で、地域同士がある意味、競い合い、あるいは、切磋琢磨をしていくと、このこと自身は必ずしも否定はされるべきではないと思います。

ただ、これもお話がありましたように、例えて言えば、本県の人口数千人、あるいは、それいかない町村と、横浜市のような300万人を超えるような市が同じ市町村とは言え、同じスタートラインに立って競えと言われてもそれは無理でしょうということは、私もそのとおりだと思っておりますから。そうして、スタートラインを同じスタートラインの水準にそろえていくというところは国がしっかり目配りをしていくべき部分だと思っておりまして、そうした観点に立ちまして、地方創生にかかわる施策、あるいは、地方税財源の充実にかかわる施策などに関しまして、引き続き、国に対してしっかり政策提言をしてまいりたいと考えております。


3問目

■大野たつや

今日は、優先順位を主なテーマとして、新型コロナウイルス対策をはじめ中山間、施設整備などについて質問をさせていただきました。
今後、そうとう厳しくなるであろう、限りある財源の中で、何を優先に施策を行っていくか、その取捨選択、バランス感覚がこれまで以上に問われることとなると思います。

金額や箇所数、得点など数字を上げることも大切な成果ではありますが、浜田県政には、医療や保健、福祉といった数字では表しにくい、県民の安全や安心に繋がる分野に対しても、しっかりフォーカスを当てていただき、優しくて暖かな、県政運営に期待をしたいと思います。私も微力ではありますが、ともに汗をかかせていただきたいと思っておりますので、今後ともどうかよろしくお願いいたします。
以上で私の一切の質問とさせていただきます。
ありがとうございました。


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